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執筆者の写真プラモ尼崎城

【メーカーの声を聞く】



尼崎から長野県諏訪市まで、約350キロの道のりを走ってたどり着いたのは、プラモデルメーカーのピーエムオフィスエー(PMOA)。清潔感のあるオフィスを抜けて、いよいよ応接室に入ります。 「遠いところをようこそ」。にこやかに話しかけてくれたのが、社長の山口晃さんでした。




たくさんの完成見本や商品のポスター、そして新聞記事で飾られた空間を横目に、早速お邪魔した目的をお伝えします。主な内容は2つ。 ひとつ目は、尼崎城のプラモデルを作ってほしいということ。 ふたつ目は、尼崎では行政と市民がそれぞれ城にまつわる事業に取り組んでいること。 私たちが知る限りありったけの「尼崎城ネタ」を仕込んだプレゼン資料を手にお話しました。



「尼崎は盛り上がっているんですねえ」と穏やかに感想を述べると、山口さんは最初に手がけた建築商品「諏訪高島城」の開発秘話を紹介してくれました。 リーマンショックで外部からの仕事が激減し、活路を見出すためにあらゆる見本市を見ていた折、一番活気のあったのがホビー業界だったそうです。ライセンスを得てゲームやアニメのキャラクター商品を発売していきますが、肝心の地元でなかなか認知されません。そこで思いついたのが、地元の人に響く商品づくりでした。 残存していた石垣の上に天守閣を復元した高島城は、1970年に完成。プラモデルの発売は2011年のことでした。全国的な知名度こそ低いお城でしたが、プラモデル化のニュースは地元で大きな注目を集め、今では地元小学校でものづくりを学ぶ授業の教材になっています。この後、上田城や諏訪大社など地元の建築物を次々と商品化し、諏訪のプラモデルメーカーとして内外で注目を集めていきました。

そして、青森県の金型メーカーもPMOAの商品に注目し、今度は「田んぼアート」で知られる青森県田舎館村役場の商品づくりに着手。なんと青森県からスタッフが出向して、諏訪で設計図面を制作したのち、金型を製造したというコラボレーション商品です。

当初私たちはPMOAの「一貫生産で」商品ができないかと考えていました。それは分業すると時間がかかり、開城までの商品化に間に合わないと踏んでいたからです。地元の企業とものづくりができる可能性が出てきたことは、本プロジェクトにとって一番よいことに違いありません。



「図面はすべてのクオリティに関わるから、私たちがつくる。工程の管理もやる。だから、尼崎で金型を作ってくれるところを探してください」山口社長の力強い言葉に励まされて(相変わらず手ぶらだというのに)私たちの士気は大いに上がったばかりか、次の一手も見えたのでした。(綱)


〈尼崎城開城まで、あと380日〉

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