金型の製作が、恐るべきスピードで進んでいます。
次の工程である射出成形にも関わる部分なので、山八化成工業所の宮本さんにも同行いただき、仕上げ作業が大詰めを迎えている甲斐製作所を訪問しました。
まず驚いたのが、シャチホコの外形に沿って段をつけてレイアウトされているランナー。1枚目の写真を見れば分かる通り、ランナーの一部が一段低いところを通っています。こ
の段差をつける加工には、かみ合わせを合わせるための手間が余分にかかるそうです。
金型はデータさえできたら機械加工で自動的に仕上がるものと思いがちですが、じつは細かく分業がなされています。今回の場合は、最初の切削加工は甲斐製作所が担当。おおよその形を作るのに3~4日、機械はノンストップで作業したそうです。
次に、細部の加工は緒方彫刻社が担当。「尼崎城」の銘板や、細かいウロコのディテールなどにその技術が発揮されています。そしてさらに、プラモデルの表面にあたる「意匠面」の研磨も別途依頼して進めたとのこと。1つの金型が複数の会社を渡り歩いて仕上げられています。
ウロコがびっしりと並ぶ表面は、刃物による切削加工だけで作るには限界があるそうで、放電加工という方法で作られています。この仕組みは、鉄製の金型に銅を切削加工してつくったシャチホコを押し当て、電気を放電しながら少しずつ溶かすように削っていくという方法です。急激に電圧をかけると表面が「ダレる」し、長時間作業すると電極にもヘタリが出てくるので、電極用の銅製のシャチホコは数個制作されたとのこと。
複雑かつ繊細な部品を射出成型機でスムーズに取り出せるよう、金型には成形した部品を押し出すための直径数ミリのピンを複数配置します。こちらも写真をご参照いただければ一目瞭然ですが、このサイズの割に多くのピンが必要だったそうで、生け花の剣山というかヤマアラシのような外観になりました。これもたいへんな加工だったようです。
データ制作に約1カ月半の時間を要したので、じつはそれ以降の工程もスライドして押すだろうと考えていました。ところが甲斐製作所では、私たちがクラウドファンド支援者(※該当するコースのみ)を対象に企画している工場見学会をゴールに設定して、「超特急で」作業を進めていただいています。
いやはや、なんともありがたく、背筋が伸びる思いでした。
今週末は、いよいよ「トライ」(最初のテストショット)に進みます!
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