兵庫県立尼崎高等学校のT先生のお誘いで、高校3年生のみなさんにプラモ尼崎城の取り組みをお話する機会をいただきました。
その講義の名前が「日本の文化」と聞いて、一瞬たじろいだのは言うまでもありません。なにしろ、暗中模索&七転八倒で周囲のご厚意に助けられて何とかここまでこぎつけたというのが実態です。文化としてのプラモデルを語れる見識も実績もないのですから…。
しかしながら「あなたが見聞きしてきたものを語ることに意義がある」と、こちらのFacebookページを熟読いただいている担当教諭のT先生に諭されて、お引き受けすることにしました。
50分間の授業のうち、2/3を講義、残る1/3をプラモデルの制作体験としました。そういうオーダーだったと言ってしまえばそれまでですが、話を聞かずに組むのと聞いてもらったうえで組むのとでは、伝わり方が違うと期待していました。
教室の26名の生徒さんに、これまでにプラモデルをつくった経験の有無を尋ねると、手を挙げてくれたのは4名(蛇足ですが15%)。男女2名ずつでした。教室が社会の縮図だとすると、憂慮すべき数字なのかもしれません。
『 梱包作業を体験してもらっています(ラベルの折り方が違う…) 』
講義パートでは、尼崎城にまつわる市民活動の前史、プラモデルの歴史と製造のしくみ、シャチホコプラモの開発の過程を駆け足でお話し、制作体験へ。すぐにプラモを組むのではなく、PET製の包材と中敷きラベル、ランナーの3つをお渡しして、梱包も体験してもらいました。そしてせっかく納めたプラモをまた取り出して組み立ててもらうという展開です。
実際に組み立ててくれたのは、クラスの半分くらい(プラモ組んだ人が15%→50%になった!)。あとの半分は、そのまま持って帰りたいという生徒さんたちでした。
『 ラベルを抱き込むようにPETの包材を組み立てるのですが、コツをつかむのに苦労していた様子。敢えて何も言わずに様子を見守りました 』
工具に関しては、ニッパーを用意してもらうのは大層なので、事前告知で爪切りをおすすめしておいた(切る機能とヤスリがけする機能があって便利)のですが、ハサミを取り出して部品を切り出す姿も散見されて、ああ、自分もプラモデルを作りだした頃はこうだったよなあと初心に帰るような思いでした。
『 プラモ組んだ経験ゼロ→「1」になった、歴史的瞬間です。 』
きょうの授業がどれくらい生徒のみなさんに伝わったのか知りたくて、アンケートも取らせていただきました。あまり商売っ気が出ないように、しかし10代のみなさんがプラモデルに対してどんな印象を持っているのかも素直にぶつけてみたところ、興味深い回答をたくさんいただきました。結果のご報告は、またの機会に。
『 バリが残っているとか、すき間が開いているとかどうでもよくて。
黙々と作ってもらえたのが嬉しかったですね。 』
(こちらの写真はすべてT先生が撮影。プライバシーへの配慮のため画像をトリミングしています)
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