布に描いた尼崎城のはな



(写真:2015年制作の布絵の尼崎城)


ずっと話が戻るのですが、私の尼崎城に関わる活動を紹介します。今回の尼崎城築城の前の話。尼崎城一夜城と布絵を吊った話です。


この取り組みを語るうえで、外せない方がひとりいます。お会いした当時は県立尼崎高校の校長先生だった正岡茂明先生です。お城の東側にある、旧尼崎警察署の再利用活動で知り合いました。阪神大震災以降、使われなくなっていた旧尼崎警察署の活用を考えるために、まずは自分たちで使ってみようと、「城内フォーラム」を企画。拘置所見学やカツ丼を食べるなど、さまざまな企画を行いました。

そこで、この建物を知ろうと旧警察署がどんな建物なのかを調べることに。設計者置塩章氏の調査に始まり、近辺の置塩氏の建物を見て廻りました。現在神戸市のデザインセンター「KIITO」となっている国立生糸検査所や、芦屋警察署旧棟、加古川図書館(旧加古川公会堂)なども置塩氏の作品です。


話を戻します。正岡先生は2007年に開催された「城内フォーラム」の際、壁面に生徒が書いた尼崎城の絵を吊るしたいとお話され、実際に吊ったのが第一回目の築城。じつは私はこの絵の製作過程を知りません。「城内フォーラム」の度に数回掲げましたが、風に煽られ、だんだんとビリビリ破け、いつしか落城したそうです。



(2007年制作の布絵の尼崎城)


次は一夜城を作ろうという話になりました、布は破けるのでベニヤ板に描いて、ちょうど2009年3月の阪神なんば線開通に合わせて阪神尼崎駅から見えるよう、仮設足場で建てようという構想です。ところが風の力は無視できないほどの強さで、背が高いものであればあるほど、足場の底辺は大きくなって、とんでもなくコストがかかります。そこで、やや縮尺を小さく、さらに2層分に縮小して、築城400年には4層になるようにと組み立てたのが、二度目の築城でした。一週間ほどで解体しましたが、一夜城としては長寿命であったといえるでしょう。


(2009年制作の板絵の尼崎城)


さらに次の策を練りました。これ以上足場を高くするには限界がありました。前回の6メートルほどの高さの一夜城の上でも風が強敵です。面で風を受けるのはリスクが大きい。そこで布絵の反省と、風の力を逃がそうと、建築現場のメッシュの防護シートに描くことに。サイズもとうとう原寸大の高さ20メートル超となりました。

シートの大きさを調べ、尼崎城の資料と照らし合わせて割り付け、それを市内の高校美術部の先生に託して生徒さんに描いてもらう。そうして2015年に完成したのが三度目の築城です(トップの写真)。本来は足場に結びつけたかったのですがそんな場所もなく、建物の上から吊るしました。シートといえど重量はかなりのもので、運ぶには成人男性10人がかり。さらに、吊っても自重でタテに伸びてしまいました。原寸大よりいくらか背の高い尼崎城です。何度か各所に吊らせてもらい、補修も重ねながら、本丸の(?)尼崎市役所に吊るすこともできました。ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。

このような活動をしていましたが、じつは築城が目的ではありませんでした。正岡先生はもともと歴史の先生で、尼崎が城下町だった歴史を知ってもらいたいと考えていただけなのです。本物を建てられるならよいけれど、現在はお城を建てる必要性はないのです。お城は当時の権力の象徴で実用性はありません。江戸時代に戦はなく、実際のお殿様は御殿で暮らしていたそうですから。


あったということを知ることが大切で、実物はどちらでも良いのです。さらに旧中国街道のまち歩きも行い、各所に点在する道標や旧道の名残を歩くなど、歴史と現在を繋げる活動を展開しました。地形があって時間をかけて人が集まり道ができて、お城ができて、でも城は明治に壊され、空襲があって、車社会になって、現在のまちの姿が形作られています。先生の活動を思い返すと街に厚みを持たせるために、継続した歴史を知ることは大切なことだと気付かされました。


そして、尼崎城築城の話が起こります。実物は直接的です。現代の城なので、現在の象徴になる使い方ができればよいと思います。となると、誰もが自分の城が持ちたいと思うはず。だから自分が住んでいる場所の歴史を忘れないためにも、それぞれ一つずつプラモ尼崎城を持ちませんか。ただ、その前にシャチホコです。ちょっと強引ですね。

ムーブメントはきっかけや動機づけで、実はそんなに必要ではありません。ないといけないものはそれほどないように思います。尼崎はものづくりの街。それぞれの人がそれぞれの得意を活かして尼崎城のプラモデルの夢を楽しめればと思います。まずはシャチホコで。

(岡崎勝宏)

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