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【プラモ尼崎城、西へ(中編)】



 いよいよ河童のプラモデルの仕掛け人との面会です。指定された古民家を改修した交流施設「タケムラ」に向かうと、通りに面したガラス越しに精緻な造形のフィギュアがずらり。鼻息も荒くかじりついて見てると、戸が開いて「プラモ尼崎城の方ですか?」。それが、私たちがいちばん会いたかった人、小川知男さんでした。

(※参考「事件は福崎町で起きている」2018年6月5日の投稿)



 この日ご対応いただいた方はお二人。福崎町役場の地域振興課長補佐の小川さんと、この施設を運営している一般社団法人ノオトの井垣和子さんです。この日聞きたかったのは、リアルな造形のプラモデルを観光協会が発売するまでの経緯と、それがどのようなスケジュールで進められたのか、という点です。



 まずは、小川さんについて少し説明をしなければなりません。小川さんは、福崎町の職員であると同時に、造形作家というもうひとつの顔をお持ちの方です。得意分野はリアリティのある人物や妖怪、怪獣などの制作。詳しくは写真をご覧いただきたいのですが、周りに大きさを比較する物がなければそのスケール感が分からないほど精緻な造形です。それぞれの体形、衣服のシワ、そして表情。どこかで見た著名人に似せてあったりするのも、その技術の現れでしょう。





 そんな小川さんですが、プラモデルの前に福崎町の辻川山公園に設置した河童の原型を制作した経緯があり(池に沈んでいるやつと、池のほとりで固まってしまったやつね)、その商品化が望まれていました。当初は着色済みの完成品フィギュアを検討されていましたが、職人が色を塗るという工程のコストが高いのと、樹脂でつくるフィギュアそのものを1万個作らなければ減価償却できないとわかり断念。そこで浮上したのが、小川さんが原型を制作したフィギュアをプラモデル化するということでした。




 私たちはプラモデル作りをおカネのかかる高価な事業だと思っていたのですが、小川さんは「安い」とおっしゃったのは意外でした。たしかに、組み立ても塗装も買った人が行なうわけですから、未完成のまま商品にするのがプラモデルなのですね。


 さて、この企画は構想に2年を要し、実際の事業化が進んだのは2016年のこと。


 前年度の町議会で金型製作の予算を決定し、量産した商品を福崎町観光協会が販売するというスキームで進みます。2016年(平成28)年度予算として進めるわけですから、年度末には確実に仕上げなくてはなりません。そこでこの年の前半を原型制作、後半を量産のための期間に充てられました。


 量産というのは、一度小川さんがつくった完成品を部品に分解し、部品分割や配置をおこない、実際の金型をつくり、組み立てやすいものに調整をおこなうという一連の作業です。そして2017年春にめでたく商品化。初回ロットは2000個でした。


(つづく)


<尼崎城開城まで、あと244日>

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